江戸の粋と伝統工芸

江戸の文化を表す言葉として“粋(いき)”があります。同じ字を書いて関西では“粋(すい)”というのだそうですが、“粋(いき)”とは生活に必要なものだけではなく、どこか心の余裕というか、遊び心があるもののことを言うようです。(ちなみに“粋(すい)”のほうは、もう少し円熟した楽しみのことをいうようですが…)

江戸は武士の町であると同時に、職人の町でもあると言われています。それは大阪が商人の町と呼ばれたのに、対比する意味でもあったのでしょうが、実際、町作りも、江戸城を中心とした武士の居住地域、そして、やがて町が南に広がるにつれ、庶民の文化が花開いていったのだと思われます。

それはまさに職人の文化でした。「宵越しの銭は持たねぇ」なんて“いき”がってみせるのも、職人の心意気ですよね。

職人の作る物は、あくまで工芸品であって美術品ではありません。観賞用でなくて生活用品。生活用品であるからには、それ用の機能がきちんと備わっていないといけない。でも、そこに“粋(いき)”が入って、ちょっとした遊び心、美術品に負けないくらいの美意識の高い物、そういう物を作り上げて来たのが江戸の職人たちでした。

切子、漆器、銀器など、代々伝わる江戸伝統の知恵と技を受け継ぎ、 頑固一途に本物にこだわる職人たちの作り出す工芸品は、緻密でありながら、合理的であり、遊び心に溢れた逸品がそろっています。それは伝統を受け継ぎながらも、たえまぬ工夫を続けるからこそ、成り立つ世界だからではないでしょうか。そして使う側から言えば、使えば使うほど味が出る美しさ、愛着が湧く美しさ、そういう美しさがこれらの工芸品に備わっているのだと思います。
posted by mog525 at 00:00 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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